2018年8月17日金曜日

 ぷるんとした透明のゼリーみたいな世界の中の住人に私はなったような気がする。ぷるんとしたゼリーにつつまれて生活をする。呼吸をする。水を飲む。私の心にはほとんどの言葉が浸透しなくなったと思う。「通り過ぎるだけの言葉たち」ほとんどの言葉はプラスチックでできているように感じる。「食べてはいけない。」水中をさまようウミガメが、クラゲとビニール袋を見分けられなくて食べてしまうというけれど、私はビニール袋の形状を記憶に埋め込むことに成功したみたい。

 今日はお店はとても混んでいて次々と人がやってくる。イスラエル人のカップルがやってきて美術の話を少しする。それから瞳のきれいな金髪のショートカットの女の子。私のしっぽは「自由」を察知してゆれはじめる。彼女たちに言葉をかける。
 「美術を好きな人たちが東京をみたらがっかりする気持ちはわかる。日本で求められるのは同質化で、異質なものは排除するか同化させようとしてしまう。」
 「もっと奇想天外な世界をみたいと思ってやってきたのに。」
 「そう。私は美術が根付かない土地だなと思いながら日々を送ってるよ。でもね、私はこのお店が好きだから、特に不平はない。ここは私にとっては楽園。」
 
 そうしたら彼女たちは笑ってた。「日本にもそういう人がいるのね。安心した。」

もしもニューヨークにいくことがあったら、とても面白いお店があるよ。私はしっぽをゆらしながら頭の中で話す。ぽんびきみたい。ひそやかに宣伝を続ける。

 カメラマンさんに仕事を手伝ってもらう。現像機のふたをバタンとしめるので「しめるときはゆっくりしないと、センサーが壊れちゃうんですよ。」と伝える。
 「結構なご老体なので。」と現像機を触る。カメラマンさんは笑って「僕もだよ。」という。肩が痛いらしい。

 みんなが「特別」を求めてさまよい続ける。私にとってここはとても特別な場所。
反抗的でどこにもなじめない私がゆいいつ根を張れた場所。水をくみあげてごくごくと飲んでいるうちに精神は浄化されて、世界が大好きになってた。

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